第12章 夏の思い出
寝台に座らされて、しんどかったら横になっててと促される。
心遣いは有難いのだけれど、こんなにいい人だからこそ、意地でも傍にはいさせられない。
『あの、トウェインさん。悪いけど本当に私みたいなのの護衛なんてつかない方が__』
「____死なないよ、約束する」
『!!!』
トウェインさんの声に、また目を見開く。
「蝶ちゃん怖がりだって知ってるし、ある意味中原君よりま鈍感じゃないとは思ってるからさ。中原君から今朝の事聞いてちゃんと、分かったから」
『分かったって、何が…っ?危ないって分かったなら、そんなところに自分から来ない方が…』
「中原君のとこからいなくなろうとしたんでしょ。本人はまだおぼろげにしか想像出来てないみたいだけど、僕からしてみれば分かりやすすぎる行動だよ…大丈夫、皆そんなに弱くないから」
蝶ちゃん本当優しい子だよねとはにかまれ、それにどうしょうもなく胸が締め付けられた。
優しくなんかない、こんな状況で私のところにいようとする人達の方がよっぽど…
『分かってる、よ……でも、危なかったんだよ…?私だけじゃなくって、今回なんて「中原君はもう警戒態勢だし、僕だって覚悟を決めていないわけじゃあない」でも!!』
「それに、僕達になら何かあったら蝶ちゃんが探偵社まで連れてってくれるでしょ?治療法はまあ聞いてるからかなり心配だけど…死なないから、大丈夫だよ」
『………与謝野先生の治療、かなりのものだけど』
「うん、蝶ちゃんにまた会うために頑張るよ。それに殺られるつもりないし…組合の方も今は立て直し段階だけど、本国なんかにいけばこっちにだって治癒系の異能力者はいるから」
トウェインさんの声に恐る恐る顔を上げて、本当に死なない?ともう一度聞く。
「本当に死なない…死神だかその弟子だか知らないけど、蝶ちゃんの事狙ってるような奴に易々と引き渡せるわけないでしょ」
『…そっち側だった人がよく言う』
「ご、ご最も…」
『…………ありがとう、頼りにしてるね。立原二号』
ぶれないねぇと笑われるも、今の私の精一杯のおふざけだ。
こんなところまでそっくりとか…本当、笑える。
「でもそれってさ、立原君の方がトウェイン二号ってなりはしないの?」
『語呂が悪すぎるから無理かな。それに立原の方がお馬鹿加減は一枚上手だよ』
「ご、語呂の問題…立原君ドンマイ」