第1章 イングリッシュラベンダー
「何?」
「あんた、Jr大会で優勝してたでしょう?」
「うん、観てた?」
「日本人で出てたの、あんただけだったし…」
「ふーん、あ、私、蒼野 風華。こっちは、兄の風斗」
「よろしく」
「越前 リョーマ」
「何歳?」
「6歳」
「1つ下か」
「…」
「家、近く?」
「うん」
歩きながら、越前君と話す。
「あ、アイス」
風華は、アイス屋を見つけて、その店の中に入っていく。
「ちょっと買ってくる。越前君もいる?」
「いや、いいっす」
「そう」
数分して、風華の右手には、3段重なったアイスを持っていた。
「本当、甘いの好きだよな」
「逆に、甘いの苦手だよな」
そんな、やりとりを見ていたリョーマ。
「あの、俺の事、リョーマでいいです」
「あ、そう?私も、風華でいいよ」
「俺も名前呼びいいから」
「うっす」
それからよく、リョーマと過ごす事が多くなった。
「お、リョーマ。これから風華の所に行くのか?」
「はい」
「あいつ、壁打ちしてんじゃね―かな?」
そして、テニスの相手もする様になった。
「はっ!」
ボールが壁に強く当たる音がする。
「風華」