第1章 イングリッシュラベンダー
〈っ!!〉
「(あらら)」
男の子は、今にも泣きそうな顔をしていた。
〈ねぇ、年下相手に手出すのがそんなに楽しいの?〉
「?」
1人の男の子が前に出た。
「日本人?」
「そう、みたいだね」
〈誰だ、ガキ。チビのくせに〉
〈あんた、テニスできるでしょう。試合しようよ〉
〈ふん、いいだろう。後悔すんなよ〉
〈そっちこそ〉
試合が、始まった。
サーブは、日本人の男の子。
「はっ!!」
打ったボールは、ラインギリギリに落ちた。
〈なっ、この!!〉
〈へー、うまいじゃん。おらっ!〉
〈このガキッ!〉
「あーあ、どう見てもしたあの男の子が勝つじゃん」
「え、そうなの?」
「うん」
結果は、男の子のストレート勝ち。
〈ちっ!行くぞ〉
男は、数人を連れて出てった。
〈あ、あの、ありがとう〉
〈別に〉
男の子が、こっちに近づいて来た。
私に気付いたらしく、目があった。
〈……〉
「いや、なんか、喋ってよ」
「!!」
「何?」
「日本人…」
「そうだけど」
「!」