第1章 イングリッシュラベンダー
アメリカ、ロザンゼウス。
「あぁ〜。日本食、食べたーい!!」
ポテトをつまみながら、愚痴る。
「自分で作ったら?」
「え、無理」
「即答かよ!?」
「笑」
私は、蒼野 風華、7歳。
前で携帯を触りながらポテトを食べているのは、兄の風斗。
私らは、親の仕事でアメリカにいる。
「そう言や、テニススクール、どうだ?」
「ん?うーん」
「?」
「日本人だからって、色々と…」
「あぁ。でも、お前より強い奴いないんじゃない?」
「うん」
「だろうな…」
「ほとんど、1人でやってる」
「え、コーチは?」
「無視」
「マジか」
「マジです(笑)」
そう、練習は、ほぼ1人。
兄は、違うスポーツしてるから、相手にならないし、壁打ちにも飽きてきたし…
「(相手、欲しいな〜)」
「俺がテニスができたら、相手できたんだけどな」
「風兄、個人のスポーツできないじゃん」
「うっ…ま、まぁ、そうだな…」
「あ、あそこ、テニスコートある」
「お、ってか、なんか……揉めてね?」
テニスコート内で、私と同じぐらいの歳の子と中学生か高校生かわからないけど、なにか言い合っていた。
〈ここは、俺達が使うんだ。ガキは、引っ込んでろ!〉
〈ここは、皆が使う所だ〉
〈うるせぇ!!〉
1人が、小さい男の子を突き飛ばした。