第3章 約束
「あっ……いたいた‼︎赤司君‼︎」
お祭り当日。征ちゃんを見つけると、一目散にこっちに走って来たかりんちゃん。浴衣を着ているせいか、いつも以上にオシャレに見える。
「今日はよろしくな、池川。」
「あっ……うん。…こちらこそ。」
冬馬君は、かりんちゃんに事情を言われているようで、征ちゃんとかりんちゃんを2人にさせるようにしていた。
「池川って、浴衣、すげぇ似合ってるな‼︎可愛い‼︎」
冬馬君は、素直に思ってる事を口にするから、なんだか、とても嬉しかった。
「…………」
「赤司君、どうかした?」
「……別に、何もない。」
私は、かりんちゃんが頑張っているのを無駄にしたくなくて、征ちゃんと目が合わないように必死に努力した。
★征十郎サイド★
今日は、なんだかゆりなの様子がおかしい。いつもなら、僕の隣に来て、いろいろと話をするのに、今日は冬馬とばかり話している。
(なんでだろう。とても、胸が苦しい。)
僕はまだこの痛みの正体を知ることはなかった…。