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僕の視線の先に

第2章 新緑




「ユウスケ。」







「ねぇ。」








「ユウスケ~!!!!」







僕はハッとした。
どれだけボンヤリしてたんだ?





「ごめん、カナ。何。」






カナが眉間にシワを寄せてた。






「大丈夫?ずっとボンヤリしてたから。」





気が付くと、真っ白なノートに、
訳のわからない絵が
描いてあった。





「あー…。」






「どうかしたの?」






「いや…大丈夫だよ。」







大丈夫なんかじゃない。





先週、漫画の持ち込みをしたんだけど
まぁ、残念な結果だった。






「キャラクターに、気持ちが入ってない。」






そう言われた。
絵も話の内容もいい手応えだった。





「絵も話も上手い人は、たくさんいるんだよ。」





僕自身に足りない所が
漫画にしっかり現れている。





編集の人に、その後も何か言われたけど
もう頭に入っては来なかった。
頭を下げて、席を立ったのは覚えてるけど、
家にどう帰ったのか、覚えていなかった。







「大丈夫そうに見えないけど…」






僕の横にしゃがんだカナは、
心配そうに、僕を見上げた。






「…大丈夫だから。」





ケイタには報告したんだ。
ケイタは、ただ一言。



「また次だな。」



残念だな、元気出せ、
なんて言わない。
前向きな言葉で、
励ましてくれる。





カナは、僕が目指している夢は
知らないけど、こうやって
心配してくれた。






「大丈夫だよ。」






訳のわからない絵を描いた
憂鬱が詰まったノートを閉じた。










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