第3章 雨
ボンヤリと
雨に浸った校庭を眺めた。
「雨ばっかだな。」
ケイタは、カラッとしてた。
雨なんて、関係なさそうだ。
「まぁ、梅雨だからね。」
梅雨は嫌いだ。
外に出たくない。
だから、雨の休日は
ひたすら漫画を描いている。
「ユウスケ、あれから描いてるのか?」
「…いや。」
人づきあいが苦手な僕なりに
人間の観察はしてるけど、
それはあくまでも
離れた距離からだ。
「ケイタを主人公に描こうかな。」
「え?マジで?」
ケイタなら、いくらでも
気持ちを描けるかも。
思わず、笑ってしまった。
「え、俺が主人公か。
ヒロインは、やっぱアレだな、
隣のクラスのあの娘だな~」
ケイタは、妄想を膨らませてたけど、
ごめん、ケイタしか、気持ちの入った
キャラクターを描けないから、
その漫画には、ケイタしかいないかも(笑)
…まだケイタは、妄想に浸って
ニヤニヤしてる。