第7章 嫉妬心
久しぶりに、殺生丸と並んで星空を見上げる。
いつもはよく話すりんが、ずっと黙ったまま。
「…もう戻れ。」
殺生丸がりんに言った。
「もう少しだけ…」
りんが風邪をひかないか心配だったが、もう少しここにいることにした。
殺生丸は、昼間の佐助の言葉を思い出した。
ーおれ、お前をだれよりも幸せに出来る自信がある!ー
りんのことを大切に想い、守るのは自分だけだと思っていた。
しかし、他の者にりんを守ると言われることが、こんなにも気に食わないことだとは思わなかった。
りんを大切を想う者は、己だけではない。
殺生丸は、ゆっくりと目を閉じた。
「りん。」
「はい。」
「お前の好きなように生きろ。」
殺生丸は立ち上がった。
「…はい。ずっと待ってます。殺生丸様を。」
りんの言葉に足が止まる。
何の迷いもないりんの眼差し。
「じゃあ、おやすみなさい。殺生丸様!」
りんが家に入ったのを確認すると、殺生丸も上空へ飛んだ。
りんを守るのは、この殺生丸だけで十分だ。
りんは、殺生丸からもらった着物を、大事にしまった。
待ってるからね。殺生丸さま。
おわり