第19章 守るもの
「ふぅ…」
湯浴みを終えて、髪を櫛で梳かす。
りんの綺麗な髪は、腰まで伸びていた。
そろそろ髪を切ろうかな…
部屋に戻ると、縁側で殺生丸が月を仰いでいた
女の私から見ても、うっとりするような殺生丸の美しい横顔。
「どうした。」
月を眺めたまま、殺生丸が言った。
「ううん。何でもないよ。」
りんも殺生丸の隣に腰掛けた。
トン…
殺生丸にもたれかかる。
サラサラとした銀髪が、頬に触れた。
殺生丸様の隣が、一番落ち着く…
「…部屋に戻るぞ。」
「あ…はい。。」
二つ敷かれた布団に入る。しかし、殺生丸は椅子に腰掛けた。
最近、いつもそうだ。
いつも一緒に寝ていたのにあの日、りんが流産して以来、殺生丸はりんに触れてこようともしなかった。
初めは、りんもそういう気持ちにはならなかった。
しかし、月日は流れ、ずっと一緒にいてくれる殺生丸のお陰で、辛かった想いもだんだんと癒てきた。