第17章 小さな光
ご母堂とともに、地上へ降りた。
地上へ来たのはいつぶりだろうか。
りんは近くに咲いていた花をそっと摘んだ。
「…暖かくなったな。」
ご母堂は空を見上げる。
その横顔が、一瞬殺生丸に見えた。
「…すみません。」
りんが謝ると、ご母堂がゆっくりと振り返った。
「そなたのせいではなかろう。」
(殺生丸様と、同じ……)
りんは、殺生丸と全く同じ言葉に、ふふっと微笑んだ。
「…大丈夫そうだな。」
りんは、え?と顔を挙げた。
するとご母堂が、とても優しそうに微笑んでいた。
りんの母親は随分前に亡くなっている。
母親の温もりというものを、久しぶりに感じた。
瞳から涙が落ちる。
「……いつまでも、私が落ち込んでいたらあの子の魂は天国に行けない。。あの子が私を守ってくれたんです。」
「…きっとまた、お前の元へ来てくれるだろう。」
りんは、久しぶりににっこりと笑顔を見せた。
そんな様子を遠くから殺生丸が見守っている。
「…あ、殺生丸様っ!」
りんは再び、殺生丸の元へと駆け出して行った。
いつか、きっとまた会えるよね。
おわり