第1章 あの日から
「…試してみるか。」
目の前に、まだ幼い少女が狼に噛み殺されて横たわっている。
殺生丸は腰に刺してある天生牙に手をかけた。
ゆっくりと鞘から抜くと、剣をその少女にかざした。
ドクン…!
(見える…あの世からの使いか。)
ザシュッ!!
「え?!殺生丸様、今何をお切りに…?!」
殺生丸の家来、邪見が目を見開いた。
ふわっ…
殺生丸はその少女の肩を支えて起こした。
「……ん…」
既に死んでいたはずの少女がゆっくりと目を開けた。
「な、なんと?!生き返った??!」
この行動が、今後二人の運命を大きく変えることになるとは、殺生丸もまだ気づいていなかった。