第14章 あなたとの未来を。
ゆっくりと、殺生丸が近づいて来た。
「殺生丸さま……」
りんは殺生丸を見ると再び瞳から涙が溢れた。
殺生丸はご母堂を睨みつけた。
「そのような目で母を見るなと言っておろう?何もしてはおらぬ。」
「りんは連れて行く。それから、私は婚儀など挙げぬ。」
そう言ってりんを抱き上げると、殺生丸は屋敷を後にした。
「まったく…変なところが父親に似てしまったな。」
ーーー
りんは殺生丸に抱かれている間、気まずさでいっぱいだった。
ご母堂に言われた言葉が頭の中で繰り返される。
「りん。」
殺生丸が口を開いた。
「はい…。」
「無駄な心配はするな。私は、誰かの指図を受けることはしない。」
りんは殺生丸を見上げた。
お嫁さんは、貰わないってことかな…?
りんは何も言わずに、殺生丸に抱き付いた。
冷たい風が頬に刺さる。
ただ何と無く、これからも殺生丸さまと暮らしていく…
殺生丸さまとの未来を、考えてもいいのかな。
いや、考えたくない…
ずっと、このままがいい。
ずっと、何も気にせず何も咎めず
このままーーー
終わり