第13章 花よりも君
「屋敷の庭に咲いている花です。部屋を花でいっぱいにしたくて!」
りんは生けた花の香りを楽しんでいた。
殺生丸は、そんな花を眺めるりんに目を細めた。
腰まで伸びた漆黒の髪。
白い肌に、桃色に染まる頬。
殺生丸には、どの花よりもりんが綺麗だった。
「殺生丸さまは、どのお花が好き?」
生けた花を差し出して、りんが聞いてくる。
何も言わずに眺めていた殺生丸は、りんの手を引いた。
「…っ」
そしてりんを自分の中に収めた。
「殺生丸さま…」
りんも、殺生丸の背中に腕を回す。
たくさんの花に囲まれて、りんは殺生丸に抱かれた。
花に負けないくらいのりんの色香に、殺生丸は息を飲んだ。
花に囲まれた、甘い甘い二人の時間が過ぎて行った。
花よりも、君。
おわり
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