第11章 大好き
「…んっ……」
甘いりんの声が漏れる。
りんの細い身体を殺生丸が支える。
りんは、殺生丸の唇が重なる度にとろけてしまいそうな感覚に襲われた。
「ふっ……んっ……」
深く、長い口付け。
唇が離れると、りんは深く息を吸い込んだ。
「……へへ、恥ずかしい。」
頬を紅く染めて言うりんに、殺生丸は感情を抑えきれなくなりそうになった。
りんの身体を引き寄せて、再び優しく包み込んだ。
「……殺生丸さま、だいすき。」
腕の中のりんが、顔をうずめてそっと呟いた。
そんな素直で純粋なりんが、殺生丸は愛おしくて堪らなかった。
しばらくそのままの体勢でいると、腕の中のりんは安心しきって眠ってしまった。
殺生丸はそっとりんを抱き上げ、布団に寝かせた。
りんの寝顔をしばらく眺めて、殺生丸は部屋を出た。
焦ることはない。
りんのことは、もう何処へもやらない。
自分だけがりんを守る。
妖怪と人間の暮らしが始まったのだった。
おわり