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煌めく瞬間にとらわれ

第3章 第2章 部活とすれ違い



楓は部活を始めた。

もうすぐ1週間。
入学してから直ぐ、ものすごい怪我して帰って来た時は、心臓が止まるかと思った。

*********

「…………っっ‼楓っっ!なんなのその怪我‼」

「ウルサイ……。」

「いや!ウルサイじゃなくて‼手当ては?病院とか行かなくていいの!?」

「いい。手当てはお前がやれ。」

やれって‼人が心配してんのに!

慌てて楓の家の救急箱を持って来て、消毒液とガーゼにテープ、包帯を取り出す。

「切れてるじゃない‼保健室とか行かなかったの?」

「行かない。」

リビングのソファーに座る楓の目の前に立って、髪を掻き分けながら手当てをする。

「……。」

「何があったの?」

幸いにも出血は止まってた。でも、たくさん血は出たみたいで、真新しい黒い制服に血が付いてるのが良くわかった。

「屋上にいたら先輩に、絡まれて……。知らない女子にどけって言ったら、赤い髪のウルサイ奴にボコられた。」

「…………。その、女の子は楓を心配してくれてたんじゃないの?」

「知らん。」

「で、赤い髪?の人は、女の子の知り合いで、楓がそんな態度取ったから、怒ったんじゃない?」

「……どーでもいい。」

たまに喋っても口数が少な過ぎて、状況を読み取るのが大変。

「うーん……これで傷は全部かな?後は、包帯巻くね。暫くは邪魔だろうけど、我慢してね?」

「邪魔なのは嫌だ。」

「怪我治らなくて、部活出来なくなっても良いの?」

「我慢する。」

そこは即答なんだ……。

痛くないように、それでも取れないように包帯を巻いてると、楓は私を抱き寄せた。

「……っ!楓……。」

たまに来るこの不意討ちが困る。

楓は、ちょうど胸の辺りに顔を押し付けて、深呼吸をする。

「包帯巻いてるから大人しくして‼」

「……このまま黙ってる。」

そう言って楓は、私を抱き締めたまま動かない。

「はい、出来たよ!離して。救急箱片付けるから。」

「後でいい。」

「え?……ぅわっっ‼」

楓はそのまま私を抱き上げ、すたすたと歩き始めた。
明らかに部屋に向かっている。

「ちょっと!楓!」

「寝る。」



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