第3章 第2章 部活とすれ違い
楓は部活を始めた。
もうすぐ1週間。
入学してから直ぐ、ものすごい怪我して帰って来た時は、心臓が止まるかと思った。
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「…………っっ‼楓っっ!なんなのその怪我‼」
「ウルサイ……。」
「いや!ウルサイじゃなくて‼手当ては?病院とか行かなくていいの!?」
「いい。手当てはお前がやれ。」
やれって‼人が心配してんのに!
慌てて楓の家の救急箱を持って来て、消毒液とガーゼにテープ、包帯を取り出す。
「切れてるじゃない‼保健室とか行かなかったの?」
「行かない。」
リビングのソファーに座る楓の目の前に立って、髪を掻き分けながら手当てをする。
「……。」
「何があったの?」
幸いにも出血は止まってた。でも、たくさん血は出たみたいで、真新しい黒い制服に血が付いてるのが良くわかった。
「屋上にいたら先輩に、絡まれて……。知らない女子にどけって言ったら、赤い髪のウルサイ奴にボコられた。」
「…………。その、女の子は楓を心配してくれてたんじゃないの?」
「知らん。」
「で、赤い髪?の人は、女の子の知り合いで、楓がそんな態度取ったから、怒ったんじゃない?」
「……どーでもいい。」
たまに喋っても口数が少な過ぎて、状況を読み取るのが大変。
「うーん……これで傷は全部かな?後は、包帯巻くね。暫くは邪魔だろうけど、我慢してね?」
「邪魔なのは嫌だ。」
「怪我治らなくて、部活出来なくなっても良いの?」
「我慢する。」
そこは即答なんだ……。
痛くないように、それでも取れないように包帯を巻いてると、楓は私を抱き寄せた。
「……っ!楓……。」
たまに来るこの不意討ちが困る。
楓は、ちょうど胸の辺りに顔を押し付けて、深呼吸をする。
「包帯巻いてるから大人しくして‼」
「……このまま黙ってる。」
そう言って楓は、私を抱き締めたまま動かない。
「はい、出来たよ!離して。救急箱片付けるから。」
「後でいい。」
「え?……ぅわっっ‼」
楓はそのまま私を抱き上げ、すたすたと歩き始めた。
明らかに部屋に向かっている。
「ちょっと!楓!」
「寝る。」