• テキストサイズ

薔薇と向日葵~side story~

第2章 深まる関係


「って事で、一緒に羽山君の見送りに行こうね。」

紫音はあたしにスマートフォンを返した。

「うん。今度の日曜日の午前10時発の新幹線だって。」

「わかった。それにしても羽山君は本当に可愛がり甲斐のある後輩だよ。」

「からかい甲斐のある、の間違いじゃないの?」

紫音は心底楽しそうに笑った。

時計を見ると午後5時になるところだった。

「そろそろ作り始めるか。」

あまり遅くなって、門限ギリギリに慌てて帰るのも嫌だった。

「じゃあ俺はお米洗うよ。」

「ありがとう。」

二人でキッチンに立っていると、突然後ろから「パシャッ!」という声が聞こえた。

紫音と私が振り向くと、花音さんが指をカメラ代わりにして写真を撮る真似をしていた。

指で作った四角の隙間から、あたし達を覗いている。

「パシャッ!パシャッ!」

本人は本当に写真を撮っている気分なのだろう。
その無邪気な姿に思わず笑みが溢れた。

「二人でキッチンに立ってると、旦那さんとお嫁さんみたいだねー。」

言ってる本人は深くは考えていないのだろうが、あたしの方が恥ずかしくなってしまった。

紫音は特に意識していないのか、花音さんを見て微笑んでいる。

「お嫁さん、今日のご飯は何ですかー?」

「か、カレーライス…です。」

「カレーライス!私も大好きよ。」

花音さんは嬉しそうに笑った。
/ 150ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp