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薔薇と向日葵~side story~

第2章 深まる関係


しかし、強がったところで紫音には全てお見通しだった。

「七瀬、羽山君に連絡して、いつ引っ越すのかちゃんと聞きな?七瀬にとって羽山君も大切な友達でしょ?」

「…うん。わかった。今電話してもいい?多分一人の時に連絡したらまた素直になれない気がするからさ。」

「うん、いいよ。」

あたしはスマートフォンを取り出して徹に電話をかけた。

「…はい。」

徹が電話に出てくれて一安心した。

「あたし、七瀬だよ。」

「久しぶり。」

「久しぶり。あのさ…あんたいつ長野に行くの?」

「今度の日曜日。何で?」

「何でって…。」

いつもなら「ちょっと気になっただけだよ。」とか言って会話を終わらせてしまうが、紫音を見るとちゃんと言えと目で訴えてきた。

「…あたし、徹のことも大切な友達だと思ってるから。ちゃんと、聞いときたくて。」

一瞬の沈黙の後、徹が吹き出した。

「な、何で笑うのよ!」

「いや…七瀬にしてはやけに素直じゃん。どうした?変な物でも食ったか?」

「ち、違うわよ!何なの、人のこと馬鹿にして…。」

「冗談だよ。日曜日の午前10時発の新幹線で行く。」

「わかった。」

「ありがとな、七瀬。俺もお前のこと大事な友達だと思ってるよ。」

徹とこんな会話をするのは勿論初めてで、照れ臭いけど嬉しかった。

すると、突然紫音があたしからスマートフォンを取り上げた。

「もしもし、羽山君?」

紫音はスマートフォンのスピーカー機能のボタンを押して、徹の声があたしにも聞こえるようにした。

「…別所か。何だよ。」

一気に不機嫌になった徹。
思わず笑いそうになったのを必死で堪えた。

「君が長野に行く日、七瀬と二人で見送りに行くから。」

「は?見送りなんていらねぇよ。ていうか来るなら七瀬一人でいい。お前は来るな。」

「君さぁ、何でそんなに俺を毛嫌いするわけ?」

「初めて会った時から気に食わねぇから。」

徹はハッキリとそう言い放った。
これにはあたしも苦笑いしてしまった。

「まぁ、いいや。とりあえずそういうことで。」

徹が何か言う前に、紫音は一方的に電話を切った。
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