第2章 深まる関係
「ごめん、いきなり泣いたりして…。」
紫音は落ち着いたのか、恥ずかしそうにそう呟いた。
「いいじゃない、泣いたって。」
「人前で泣くことなんて無いから、なんか恥ずかしいよ。」
あたしは場の空気を変えるために、ハンカチで紫音の目元をわざと乱暴に拭いた。
「じゃあ紫音の貴重な一面を見れたわけだ。ラッキー。」
「七瀬、乱暴。痛いよ。」
紫音の顔に笑顔が戻って一安心した。
「ねぇ、写真部の先輩達にシュリのこと話してさ、明日みんなで見送りに行かない?」
「そうだね。きっとシュリも喜ぶよ。」
あたしは徹にメールで、明日シュリが何時の新幹線で帰るか聞いた。
そして紫音にも手伝ってもらい、先輩達に事情を伝えると全員行くと言ってくれた。
「写真部の先輩達ってみんな個性的だけど良い人達だよね。」
「そうだね。だから俺も写真部が好きだよ。入部当初はハーフって事に彩菜先輩が興奮してしばらく追い回されたけどね。」
「桐生先輩のスイッチ入れちゃったんだ?」
「入れたと言うか、勝手に入ったと言うか…。」
「…シュリ、また戻って来るよね?」
「大丈夫だよ。羽山君が自棄になって荒れるんじゃないかとは思うけど…。」
「徹はもう大丈夫だよ。あいつ最近少し柔らかくなったし。もし暴走しそうになってもあたしが止める。シュリにも任されたしね。」
そう言って笑うと、紫音も微笑んだ。
翌日、朝一の新幹線で帰るシュリの見送りに写真部全員で向かった。