第2章 深まる関係
花音さんに貰った花を見ていると、心が落ち着いてきた。
「少し落ち着いたかな?」
紫音が少し心配そうに、でも微笑みながらそう言った。
「うん…花音さんて、素敵な人だよね。」
「え…?」
紫音は少し驚いた顔をした。
「だってさ、理由は分からなくても泣いてる人がいればこうやって慰めてくれて…多分これがあたしじゃなくても花音さんは同じことしたと思う。凄く素敵な人だよ、うん。」
「…花音のこと、そんな風に思ってくれてありがとう。」
紫音の声は震えていた。
紫音を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「紫音?どうしたの?」
「いや…両親は、花音のことを本当に可哀想だと思ってるし、嫌々妖精扱いしてるわけでもないよ。でもその反面、おかしくなった娘を他人に見られるのが恥ずかしいとも思ってる。だから自宅の敷地から外に花音を出さないんだ。だから…花音のことをそんな風に思ってくれて、嬉しいよ。」
あたしは、涙を堪えて無理に笑みを浮かべる紫音を抱きしめた。
「花音さんは恥ずかしくなんかないよ!」
「…うん。」
「人の痛みが分からない奴とかよりずっと素敵な人だよ!恥じることなんてない!!」
あたしの父の様な自分の事しか考えていない、平気で人を傷付ける人間よりずっと素敵な人だ。
そう思うと、つい声を張り上げてしまった。
「…ありがとう、七瀬。花音のことを理解してくれてありがとう…っ。」
初めて紫音があたしの前で涙を流した。
あたしは紫音を強く強く抱きしめた。
あたしは誰が何と言おうと紫音と花音さんの味方でいよう。
この時、あたしはそう決意した。