第3章 血祭りの真似事
「双子で何してるんスか〜…。というか、華鶴っちの方がしっかりしてるっスね。」
「はぁ?!何言ってるのよ!アタシだって、しっかりしてるわよ!」
「どこがっスか!」
黄瀬と華菜のやり取りに、思わず溜息をしてしまう華鶴。その様子を、困った表情で見守る氷室の姿があった。
「まぁまぁ、華菜ネェそこまでにしようぜ?」
「華鶴、まさか黄瀬に味方につくつもり?」
華鶴の一言に、キィッ!とばかりに歯を出しては、耳と尻尾を大きく立てる。どうやら、怒ってしまったらしい。
華菜の様子を見て、華鶴の顔色が一気に真っ青になってしまった。何故なら、華菜を怒らせたら、かなり怖いらしく、それには華鶴ですら勝てないのだ。
「お、落ち着け!まだ、黄瀬の味方になるって言ってねぇぞ!?」
「華鶴っち!それはそれで、酷いっスよ…。」
「お前は黙ってろよ…。」
華鶴の言葉を聞いていた黄瀬は、ショックを受けたのか黄瀬の耳がシュン…と垂れ下がる。
「Stop、お互いに落ち着こうな?黄瀬君や華菜ちゃん、華鶴君も皆、疲れてる。とりあえず、休憩とろうな?」
氷室が皆の間に立ち、その場を収めようとした。氷室の言葉を聞いた華菜は、ハァ…と大きく溜息をしては肩を落とす。とりあえず、この場は収まった。
華鶴は、氷室の方を見ては両手を軽く合わせて、頭を軽く縦に振った。どうやら、お礼の行動だった。
「華菜ネェ、部屋でゆっくりしようぜ。俺も疲れたしさ。」
「…まぁ、華鶴が言うならそうしましょうか。黄瀬、助かったわね~。華鶴と氷室にお礼を言いなさいね。」
「……アンタには、言われたくないっスね。」
華菜の嫌味の言い方に、黄瀬は睨みつけていたが、これ以上は何も言わなかった。