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血の争い【黒子のバスケ】

第10章 魂の行方


彼の言葉に続いて言えば、彼は頷いていた。"鬼族"の力は、強大なものだ。あの鳳凰族と同等の力を持つ。場合によっては、鳳凰族以上なのかもしれない。

笠松は結紀から視線を外して、空を見上げて言った。

「もし、封印が解けていたら、被害が出来る前になんとか――」
「被害ならとっくに出てるよ」

彼女の言葉に、えっ?と驚きの声をあげる笠松。先程、彼が結紀に対して『"鬼族"の封印が解かれていると思うか?』という言葉を肯定する意味になる。

結紀は立ち上がり、笠松から背を向けて少しずつ距離を離す。彼が結紀に、どういう意味だ?と尋ねる。彼女は笠松の方を振り向く。

その瞳には、悲しみを写していた。

「……1人、既に喰われている」
「誰だ、喰われたのは?」

笠松が彼女に再び質問をするが、悲しみの瞳をしながら微笑むばかりで答えるつもりはないらしい。流石の笠松でも、答えろ、とばかりに足を一歩前に進む。

だが、結紀は瞳孔を細めて金色に輝かせる。

「……それ以上、我に近寄ったら心臓を貫く。もしくは、仲間を呼ぶけど?」

結紀の声は、いつも以上に低かった。流石の笠松でも、これ以上は聞き出せないと思い込み、一歩前に出した足を素直に引っ込める。

彼の行動を見た結紀は、元の色に戻した。笠松は、彼女に背を向けて静かに言った。

「"鬼族"の事を考えている。暫く、戦争を起こすつもりはねぇ。人間族も含めてな」

恐らく休戦ということになり、笠松はその場から走り去っていった。彼を見届けた結紀は、休戦か…と呟くように言っては、もう一度空を見上げていたのだった。
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