第13章 人の部屋に入る時は必ずノックをしましょう
そんな事考えたって分かるはずないのに。
でもいずれ言わないといけない日が絶対来る。
だってだって、なんてずっと言ってなんかいられない。
長引けば長引くほどきっと切り出せなくなる。
いつまでもこのままじゃダメ。
怖いなんて、どうしたらいいかなんて思ってちゃダメ。
……自分に素直にならなくちゃ。
『……土方さん。』
土方「?どうした?」
『……私、土方さんに告白された時すごく嬉しかったです。人生で初めてでした、男の人に恋愛対象として見てもらえたの。』
土方「な、なんだよいきなり。」
改めて掘り返されて嫌だったのか、素っ気ない素振りで私の言葉に返事をする土方さん。
言わなきゃ。怯んじゃダメ。
『…でも、ごめんなさい。私、土方さんの気持ちに答えられそうにないです。』
やっとの思いでそう言い切った私の言葉に何も言わず土方さんはいつものようにタバコを取り出し火をつけ、ふぅっと煙を吐いて私の方を見ないで口を開いた。