第13章 人の部屋に入る時は必ずノックをしましょう
その頃天音はお登勢と店内でカウンター越しに他愛もない会話を交わす。
元は、今日は掃除の当番だった為慌てて来たがそんな事は後でいいとお茶を淹れてくれたのでこの経緯に至る。
お登勢「どうだい?もう慣れてきたかい?」
『はい、お陰様で…皆さんには本当感謝してます。』
お登勢「そりゃ良かったね。初めてアンタの話を聞いた時はどうなるかと思ったもんさ。」
二人はお茶を飲みながら天音がここに来た事について振り返る。
当の本人はというと当日から帰らないと決めていたが、やはり少なからず本当に帰らなくていいのかと心配する者もいた。
それがお登勢である。
お登勢「結局原因は何なんだろうね?本当に戻らなくていいのかい?」
『さぁ…全く予想がつかないです。でも帰れなくていいんです、むしろこの時代で出会った人が周りから居なくなる方がツライです。』
天音にとってそんな事は想像もしたくない事。
現世では経験する事のなかった事をこの時代で経験してしまった事によって、今更現世に戻るなど考えられないことだった。