第12章 一人は好き。独りは嫌い。〜過去篇〜
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「……はっ!…………な、なんだ、夢か…。」
嫌な夢を見た。
思い出したくない事だけを寄せ集めた夢。
私はその現実から逃げる為に辺りを焦るように見渡した。
そしてそこには気持ちよさそうに眠る銀さんの寝顔が映る。
「…………っ。」
銀さんの姿を見た事で、今も変わらずこの世界に居ると実感する。
その安心感からか、私の目からは僅かに涙が零れ静かに頬を伝っていた。
今でも無性に怖くなる。
これがもし夢だったら?銀さんや新八君、神楽ちゃん、土方さんや新撰組の人達みんな、私の夢の中で作り出した人物で、ただの登場人物に過ぎなかったら?
そう思うと涙は勢いを増して顔がどんどん歪んでいく。
私は縋るように銀さんの手を握った。
銀時「…………………ん〜、ん?」
手を握ったことによって銀さんを起こしてしまったのか私の顔を見てキョトンとしている。
起こされたと思ったら目の前で女が泣いてるんだもん、そりゃ驚くよね。