第10章 仲良くお仕事に行きましょう
二宮視点
翔さんへ伸びるマー君の意味不明な手の行動が、大野さんの周りに不気味なくらい静かな“何か”が集まる。
(新しい火種作るなや!!!)
「あーーばぁさーん」
バカを呼ぶ。
A「はいは-い」
クルンと回って俺の方に体を向ける能天気バカ。
「これ 片づけて…」
テーブルに乱雑している箸や皿を指さす。
A「はーいなぁ」
手早く片づけ始まる能天気者。
(そうやっててください)
翔さんが体を動かしただけで、大野さんの纏ったモノが消える。
(自動発生は厄介ですね…)
M「んじゃ 一度部屋に帰ってくるね」
潤くんが立ち上がる。
「ん じゃ俺も」
パソコン抱えて立ち上がる。
大野さんがなぜか一緒に立ち上がる。
M「リーダーはここに居て」
潤くんが後ろ向きになってまで大野さんの行動を止める。
ポカンと口を開ける大野さん。
M「ネジ落としてきたんじゃねぇ―の?」
口角を上げ 眉を寄せる潤くん。
M「じゃ 新しいネジを翔くんに作ってもらって!!仕事までに…速攻でね!」
こっちを見ながら後ろ歩きで扉の方に向かう潤くん。
完全に固まってしまった大野さん
(口 開いたままですよ?まったく 腑抜けて…)
パソコンとクッシュンを持って
「翔さんと一緒に上がって来てくださいね」
と、声をかけて手を振って歩き出す。
潤くんの横に並ぶ
M「無自覚ってのか、問題だよ」
心の声をそのまま言う潤くん。
「まーまー これからバリバリ仕事してもらうんですから、前払いですよ」
くくっと肩を揺らす。
(壮大な力は、薄れても 力はチカラです
きっちり消費していかないと また が ありますから…)
キッチンでマー君が食洗器に食器を入れている。
「置いて行くよ」
声だけはかけておこう。
A「あ!待ってよ!」
マー君の慌てた声を聞きながら扉に向かう。
潤くんが扉を開けたから、廊下に出る。
M「待ってやんないのか?」
扉を持ったままの潤くんが呼び止めた。
(これ 置いて来たいし…)
チラッと部屋を見て「勝手に来ます」とだけ言って自分の部屋に向かう。
ワザと扉を閉まる音が聞こえるように閉じる松本氏。
(くくっ大野さんへの合図ですかぁ)