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絶対絶望壮年 ーカムクラといっしょー

第6章  お別れ。


「そうなんじゃないか? ……おい、何か答えてくれよ。不正解だったか?」
何も反応しないカムクラに暁が少し焦れる。
「……不正解もなにも、それはヒントの候補であって答えではありません。真髄は僕の名前を当てることです」
「おぉ、そう言われればそうだったな」
カムクラの言葉にハッとして暁はまた考え込む。
「……じゃあ、名前を目にした機会は限られてくるな。きっと、娘からもらった手紙に書いてあったはずだ」
暁が昔もらった手紙の内容を思い出そうと懸命に考える。
「ちょっと待っててくれよ……。何しろ娘が教えてくれた友人は何人もいる。なんとか絞らなければ…………」
「響子……朝比奈……苗木……千尋……」と暁は唸りながら少しずつ覚えのある名前を挙げていく。
「……まだですか。分からないのなら分からないままで終わっても構いませんよ」
カムクラが天井を見上げながら言った。
「あと少し待ってくれ。……そうだ、もう1つヒントをくれないか。それで分かるかもしれない」
もう1つだけ、と暁は人差し指を立てる。
「君の才能を教えてくれ」
「…………」
カムクラはその要求を聞いて溜め息を吐いた。
「……いいでしょう。はっきりとは教えませんが、どういう才能なのかは簡単に説明します」
カムクラがファイルの中に貼付されている学生達の画像を指差した。
「この人達はある1つの才能だけに恵まれた超高校級の生徒です。ですが僕は彼らとは違い、全ての才能に特化した、才能に愛されている人間です。つまり何でも出来るということです」
「何でも、か……。じゃあ、君の才能はもしかして……"超高校級の希望"か?」
「そうですが……それを知っているということは、あなたの娘はやはり僕との約束を破っていた訳ですね」
カムクラは溜め息を吐く。
「約束?」
「僕は普通の超高校級の生徒とは違い、学園の秘密裏にある存在でした……今となってはどうでもいい事ですが。あなたの娘が僕に接触してきた時に、僕の存在――名前と才能のことは誰にも言うなと約束させたんです。ちゃんとその約束を守っていたなら今あなたが知っている訳がないでしょう」
また、溜め息。
「……そうだったのか。娘が悪いことをしたな」
すまんな、と暁は誉稀の代わりにとでも云うように軽く頭を下げた。
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