第1章 髪の長い男
「その髪は何?」「ひっ、ええ??」
その刹那、大木の幹が怒りバキイィッ·····と空気を震わせ捻り曲がった。「ヒョエエ!!なな何か生きてるみた「答えなさい」
「あっ、アノ「あとその言葉遣いは何?聞いてて腹が立つ」
と、我慢が出来ないお子様の様に男に問い掛ける。
「「いいわ。聞いていったってそこに意味が感じられない。貴方はーーーーかなり独創的な見世物をするサーカス員ね」
「······エエえ?」
「あら、そうじゃないのかしら?」
個性的な男は、眉を露骨に下げて瞳をぱちくり、瞳孔を大きく広げさせた。「?何よ」
「へぇエエー····何かよく分かんないけどスゴいや···!!」
そして何か微量の声で呟き、庭の遊海に写った逆さまの星の様に瞳全体を輝かせた。
「貴方は見ていて腹が立つけれど、···最近ちょっとだけ退屈だったのよ。何かして頂戴、貴方なら奇想天外な事が出来るでしょうから」
「い、っイキナリかい!?」と男は困った顔をした。
_______この男、感情が手にとって分かるわ。正直ね。
私はこの男に砂糖の粒だけ期待した。というよりは興味を持ったという方が正解なのかしら。
無論、警戒心の方が圧倒的に強いが、何か良からぬ事をしようとしていたらライオンに消化してもらえば良い。
今宵はどの様な料理に仕上げようと考えていたら
「アノ、」 「何よ」
錆びた鉄の道具を男の喉から離さないまま、問いた。
「その何かをしなかったら····??僕は「ライオンの一部ね。」
「じょ、冗談はよしてくれよぅっ!!」
「脅しじゃないわ。もしサーカス員等では無かったら、此処で貴方をナイフで切って」
「わっ分かった分かったッ!!!」
男は少し怯えた様に、だけど愉しそうに言った。
「何かをしたらいいんだろう!?「ええ、そうよ。」
「じゃあ····やる!!!」ヒュッ。
私は道具をドレスの中にしまい、あまり期待せずにこう言った。
「今宵のショーまでに考えておいて。
全ての時計はわざと狂わせておくから、見たってほぼ意味無いわよ。」
「な、なんでそんなことするんだいっ!??」
「退屈しのぎよ。貴方はサーカス員でしょう、面白い事をしなくちゃ。」