第1章 髪の長い男
[え?エ、な何時にドコでやればいいのかい]
[選びなさい]
私は声を発すると同時に、複雑なドミノを全て倒す様にカードを現した。私の後ろで動物達が走り回り、花は同じ方向に一輪残さず愉しげに揺れる。
私の心の中、失礼、心が腐って爛れそうな
オアソビ
程娯楽に夢中になっていた。表情も心そのものじゃないかしら。
そんな様子を目の当たりにし、長髪の男は【はっ】と息をその身体に。
あらあら、どうしたのかしら。カードを引くだけで恐怖を感じているのかしら。
全然分からない行動だった。たった今私の後ろの様子から視線を反らし、
[こ、怖いなぁ、引けばいいの?]
[早くしなさい]
と深呼吸をし、隠しているようだけれども小刻みに震えている手で慎重に選ぶ。
しかし、突如操られた様に、真ん中でも端でもない、私から見て左側のカードを引いた。
[1だ、てことは1時····?]
[見せてみなさい]
とカードを乱暴に手に取り、ドレスから道具を出して、空中でカードの真ん中を、力の限り刺した。
[エエッーー!!いいいいきなり何やってんだい!!?]
・・・・
身体中、水玉の光に絡め捕られて支配されそうになる。
[大丈夫そうね···、さあ]
と真ん中にギザギザの綺麗とは程遠いダイヤの様な穴が開いたカードを、道具ごと投げた。[???]
少し怯えている様な男を振り返り、私は唇の端を吊り上げる。
[ 私を楽しませて頂戴、
何でも良いわ、私が観たこと無い、退屈をしのぎれるショーならばね! ]
そう言って、手からカードを放つ。カードは風に回され揺らされ花弁の様。カードが男の頭を掠り微量の髪が刈られ、花にーー
[命綱無しの綱渡り?猛獣・珍獣使い?魔術、魔法?奇想天外な人間は、何を披露するのかしらーーー?]
と言いながらも、私は今日の予定にこの男にかける調味料を探ししに行く事を入れていた。ーーーーそれもライオンの舌に合う。