第3章 ずっと、君のそばに。
「翔ちゃんさっきから
何考えてんの?
手、止まってるよ?」
「えっ?あ、うん…。」
「何?気になる人でもできた~?」
気になる人…、ではない。よ、ね…。
「ち、違うって!
そんなんじゃないから!」
「ほんとにそうなのー?
翔ちゃんがぼーっとしてるのなんて
彼女ができたときか
彼女と別れたときくらいしか
ないじゃん?
絶対なんかあるでしょー?
10何年の付き合いの
俺が言ってんだから。」
ってね…、そう言われても…。
まさか
「二宮のこと考えてた」
なんて言えるわけがないじゃん。
俺ソッチじゃないからね?
あくまでもノーマルだからね?
彼女だって居たからね?
「それか…、なんか言えないような人?」
智くん…なら、わかってくれるかな?
別に恋愛感情とかあるわけではない
(と、俺は思っている)けど、
それで仕事に影響が
出てるくらいだったら、
誰かに相談したほうがいいのかもね。
「ねえ、智くんって、彼女いる?」
突然話題を変えた俺に
一瞬びっくりしたような
智くんだったけど、
ちゃんと質問に答えてくれた。
「彼女っていうか…、恋人は、いるかな。」
“彼女”じゃなくて、“恋人”?
(智くん、ごめん。
俺には彼女と恋人の違いがわからない。)