第5章 個人ランク戦
無言になった二人は、そのままブースへと行ってしまった
「お、おい空閑…」
「こいつはおもしろくなってきたぜー」
「くっそぉおチビは俺が先約だったのに」
「駿くんは私が次の相手だったのになぁ」
そういってそれぞれの反応を示すと、米屋先輩の存在にやっと気づいたらしい修が挨拶をする
「あ、三輪隊の…」
「米屋陽介。陽介でいいよ、眼鏡ボーイ」
「陽介は栞ちゃんの従兄弟なのだ」
「え、宇佐美先輩の?」
「そして俺の"陽"仲間でもある」
「なんだそれ…」
「とりあえず、仲が良いって事なんだよ」
くだらない会話をしていると、遊真と駿くんの10本勝負が始まった
私達は、ソファに座って観戦している
「緑川ってA級4位の部隊なのか…強いとは思ったけど、そんなに上だったのか」
「陽介とどっちがつよい?」
「ソロだとどっちだろうなぁ…俺ポイント覚えてねーし、勝ったり負けたりだな」
「琥珀は?」
急に話を振られ、うーんと少し考えてから答える
「どうだろ、スコーピオンでは勝てると思うけど…それ以外は五分かなぁ」
「嘘つけ、琥珀が強いの知ってんぞ~?」
「いやいや、駿くんはこれから伸びる人材ですよ?すぐ抜かされますって」
「確かになぁー、才能ならあっちの方が上なんじゃねぇの」
画面を見ながら言う米屋先輩の言葉の直後、遊真がスコーピオンを突き刺されていた
玉狛の二人は、強いと思っていた遊真が負けて困惑していた
あれから2本、遊真は駿くんに負けた
「あーこりゃ経験の差あるな」
「けいけんの差ってなんだ!ゆーまも緑川に負けるっていうのか!?」
私は怒る陽太郎を宥めながら答えた
「違う違う、逆だよ」
「??」
「まぁ見てればわかるぞ、ほら3本目が始まる」
理由がわからない、というような修と陽太郎の視線を米屋先輩が画面へと戻すと丁度3本目が始まろうとしていた