第5章 個人ランク戦
そこに歩いてきたのは、元気そうに手を振ってくる駿くんと修。なんともまぁ珍しい組み合わせでビックリしてしまった
「珍しいね、二人とも友達だったの?」
「ううん、さっき俺が声かけたんだよ。風間さんと引き分けした実力を試したくてさ!」
ニッコリと笑顔で言ったその言葉で、少し固まってしまう
この間、あの噂の事教えなかったっけ…?
「いや、あの…」
修もどうやら自分が言いふらした訳ではない、と弁明しようとしたが私も尾ひれがついているのは知っているので手で制した
「駿くん、本気で言ってる?」
「そうだよー後で琥珀ちゃんもやろーよ」
「まぁそれはいいんだけど…」
「じゃあよろしくね!ほら眼鏡くん、やるよ!」
「え、あ、うん…」
「あ、ちょっ……」
駿くんがグイグイと修を引っ張ってそのままブースに入ってしまった
それにしても駿くんの色…嫉妬の色してたなぁどうしてだろう?
玉狛がうらやましかったのかな?
それに眼鏡くんって…先輩だぞ、一応!私にも敬語使ってないけど!
「…修、相手がA級って知ってるのかなぁ?」
今のところの結果は0対9で駿くんの圧勝…常識的に考えて当然の話だ
何故かギャラリーも多いし、これじゃあまるで見世物状態だ…
「あれ?琥珀じゃん、珍しいな一人でいるなんて」
「誰かにひっついてるみたいな言い方やめてくださいよ米屋先輩!…あ、遊真と陽太郎もいたの」
「どうもどうも」
「それにしてもギャラリー多くねぇ?何かあるのか?」
「あー…今ちょっと、ね」
遊真の手前、言いにくくてつい目を逸らすと遊真が上の方を向いてつぶやいた
「三雲……?」
「あれ、いつぞやの眼鏡ボーイじゃん。緑川とランク戦してんのか?」
不思議そうに画面を見つめる米屋先輩と遊真
勿論ただのランク戦ではない、一方的なランク戦だ
≪10本勝負、終了。結果、10対0。勝者、緑川≫
機械音声が結果を告げると、修がブースから出てきた