第4章 入隊式の日
左腕のない風間さんに、驚く修
「最後は相討ち…引き分けだ」
観客だった私達は全員驚いた、いやそれ以上に修が驚いていると思う
私達風間隊は、風間さんが勝つ事に絶対の自信があった(修には申し訳ないと思っている)
勿論、A級だから…というのもある。だがそれ以上に、私達が信頼し尊敬している隊長の敗北する姿など想像できなかったのだ
すると、審判を務めていた諏訪隊の堤さんが全勝負終了の合図を鳴らす
ちゃんと引き分けと発表され、再び驚いてしまう
風間さんの元へ向かおうと階段を下りていると、いつの間にかいた京介が話しかけていた
「風間さん、うちの弟子がお世話になりました」
「そうか…お前の弟子か。最後の戦法はお前の入れ知恵か?」
「いえ、俺が教えたのは基礎だけです。後は全部、あいつ自身のアイデアです…どうでした?ウチの三雲は」
そう聞かれた風間さんは、トリオン体を解除しながら話し続けた
「弱いな、トリオンも身体能力もギリギリのレベルだ。迅が推す程の素質は感じない。だが……自分の弱さを自覚していて、それ故の発想と相手の考えを読む頭がある。知恵と工夫を凝らす戦い方は、俺は嫌いじゃない」
そう言い切った風間さんは、心なしか嬉しそうな顔をしていた
「あれ、結局俺とは勝負してくれないの?」
この状況で生意気な事が言えるのは、遊真しかいないだろう
すると、風間さんが階段を上る足を止めた
「勝負?お前はまだ訓練生だろう、勝負したければこちらまで上がってこい。それに……琥珀に勝ってから俺に挑戦しにこい」
「えぇ!?急に何言うんですか!」
「なんだ、お前はこいつに負けるのか?」
「風間さんのためなら太刀川さんにだって勝ちますよ!」
「そうか、ならいい。行くぞ」
「はい!」
私は修達に手を振ると、急いで風間さんの後を追いかけていった