第4章 入隊式の日
風間さんは再びカメレオンで姿を消す
…修は一体どうするつもりなのだろうか?
そのとき、訓練室に蛍が飛んだ
ゆっくり、ゆっくりと増えていく蛍の光はどれもゆっくりと訓練室中を覆いつくすように飛んでいく
その光は、修の手から溢れていた
「訓練室ではトリオン切れがない…それを利用したのか」
「修らしい無茶な考えだなぁ」
「でもこんなの実戦じゃ使えないよ、行き当たりばったりなお粗末な作戦」
「何も実戦を想定した戦いをしろ、なんて風間さん言ってなかったよ?作戦勝ちよ」
ふふん、と修らしい考えについ自慢げに語ると再び視線を戻す
カメレオンをしている間は、他のトリガーが使えない
それは風間さんもよく分かっているし、その対処法も知っている
それに…
「風間さんはアタッカー2位、普通に戦っても強いよ。修?」
風間さんは案の定カメレオンを解き、スコーピオンを取り出す
今の修の実力で、正面から勝負をすれば先程までのように一瞬で負けるだろう
すると、修はそれを見越して叫んだ
「スライサー、オン!!」
シールドモードになっているレイガストのスライサーをオンにし、風間さんに突進しはじめた
固さはスコーピオンをはるかに上回っているレイガストで、風間さんを押しやる
すると、風間さんを壁に押し付けることに成功した
そのまま盾がぐにゃりと変形する、どうやらレイガストの形状変化を利用したらしい
風間さんは壁とレイガストの盾に囲まれ、閉じ込められてしまった
「風間さんをとらえた…」
おそらくここにいる全員が驚いているだろう
そのまま、一部に穴を開けた修はそこに思いきりアステロイドを投げ込む
煙で勝負がどうなったか見えず、少しばかりざわつく
煙が晴れると、修の胸にはスコーピオンが深々と刺さっていた
風間さんの勝ちだ
しかし、そうでもないらしく…風間さんの左腕は、修のアステロイドにより吹き飛んでしまっていた