第4章 入隊式の日
「…まだやるの?」
もう20戦はしただろうか?修はボロボロになりながら立っていた
一方の風間さんは、勿論のことながら傷一つついていない
これが圧倒的な差の証拠だった
風間さんがカメレオンを使い、修の近くまで寄ってトリオン供給器官を破壊する。その繰り返し
勿論本気は出していないが、意図が私にはわからなかった
「士郎、止めてきてよー見てて痛々しいよー」
「僕に言わないでくれる?歌川にでも頼みなよ」
「お、俺か?…風間さんにも何か意図があるんだろう。無駄な事はしない人だ」
「そうだけどさぁー…」
ふくれっ面になりながら二人の戦いを見る
ひたすらカメレオンを使うのは、修の分析能力を確かめているのかもしれない
だけど、カメレオンを初見ですぐに弱点を見破れる人は早々いない
やっぱり風間さんは遊真並みの実力を求めていたのだろうか?
風間さんに聞いても答えてはくれないだろうが、気になってしまう
修はカメレオンの弱点を見切ったらしく、アステロイドを放った
しかし、その読み程度では風間さんの強さで押し負ける
「カメレオンの弱点、気付いたのか」
「修は頭がいいのが取り柄だからねー…でも風間さんが強すぎるよ」
遼が驚きの声を上げたが、それだけではどうにもならない
それに、その手には私達風間隊は慣れているのだ
「普通すぎ、光るものがないよねぇ…なんであんな奴に絡んでるんだろ、風間さん」
「修は普通じゃないよ?」
「どこをどう見てそう思うわけ?」
「修は目標のためならなりふり構わず足掻く力があるよ。私と訓練したときも、倒れるまで立ち向かってきたし」
「それだけじゃ、普通じゃないなんて言えないよ」
しばらくすると、風間さんは修の実力を見終えたと判断し終わろうとする
「もう一戦お願いします!」
修がそう叫ぶと、それに風間さんが答える
「…修の色が変わった、今までより冷静な色……」
修に何か秘策があるのでは、と考えた私は痛々しいほどボロボロになった修に注目することにした