第4章 入隊式の日
士郎に怒っていると、風間さんがいつの間にか階段を下りていた
「なるほどな」
「来ていたんですか、風間さん!」
驚く嵐山さんに風間さんは続ける
「訓練室を一つ貸せ、嵐山。迅の後輩とやらの実力を確かめたい」
トリオン体になり、遊真に模擬戦を挑もうというのだ
反対する嵐山さんを横目に、遊真はやる気満々だ
「違う、そいつじゃない。俺が確かめたいのはお前だ…三雲修」
その場の全員が驚いたと思う
この流れは、完全に遊真に模擬戦を申し込む流れだった
だが、風間さんは何を考えたのかはわからないが修に挑んだ
「ちょ、待ってください風間さん!いくら風間さんでもそれは…!」
「琥珀、お前はこいつの実力を知っているのか?」
「え、まぁ一度訓練手伝ったくらいですけど…風間さんがわざわざ相手をするような相手じゃないです!」
この際、修には悪いが風間さんにあきらめてもらうしかない
彼は普通以下の実力だ、こんな隊員達の前でやられたら流石に見せしめとしか思えない
「いきなり何を言い出すんだ風間さん!また城戸司令の命令か!」
「こいつは正隊員だろう?俺と模擬戦をやる分にはなんの問題もない」
嵐山さんも反対するが、それすら突っぱねる風間さん
どうやら本気のようだ
「訓練室へ入れ、三雲。お前の実力を見せてもらおう」
その場にいる全員が異様な空気に飲まれる
しかし、彼は違った
「…受けます!やりましょう、模擬戦!」
なんとこの無謀な話を受けたのだ
彼なりに色々考えたのだろうが、無謀に変わりない
私は必死に風間さんを止めようと、階段を駆け下りた
「風間さん話を聞いてください!何も今やらなくても…!」
「迅の後輩の実力を見させてもらうだけだ、お前も見ていろ」
完全に私の話を無視する風間さんに押し負け、修は風間さんと訓練室へと入って行ってしまった
その間にギャラリーが減っていたことに気付き、辺りを見渡すと充が隊員達をラウンジへと休憩させに行かせたらしい
気の利く充のことだ、修の事を思って行動したのだろう
『模擬戦、開始!!』
ピーッという音と共に、二人の模擬戦は開始したのだった