第1章 MUSIC
*Kazunari side*
さすが俺の姉ちゃん。
ちょうど良いタイミングで
入ってきた。
俺はね?
やっぱり雅紀とは一瞬たりとも
離れたくない訳よ。
だけどさ、いろいろと
そう言うわけには行かないじゃん。
このまま何も飲まずに我慢しろとか
言えないじゃん?
だから俺が後ろ髪引かれる思いで
渋々下に降りようと思ったけど。
そんなときに来た姉ちゃん。
今となっちゃ女神様ですよ。
俺の。
「終わったー!!」
うわっ!
びっくりした…。
「和!終わったよー!」
「あー、そう。
良かったねー。」
「和ー。何だよー。
俺のこと、
ディスってんの?
それともバカにしてるの?」
…意味一緒だよ。それ。
でも、俺は雅紀のこと
バカにしてる訳じゃない。
ついつい冷たくあしらっちゃうのも、
素直になれない俺の性格のせい。
…なんでかな。
そうやって考えてるのを
打ち消すように
姉ちゃんが部屋に入ってくる。
「はい、お待たせー。
黄色いコップが和で、
緑のコップが雅紀くんね。
…クッキー、減ってないけど、
まずかった?」
あ。
クッキーの存在忘れてた。
「そ、そう?
た、食べてるけど…。
お、おいしかったよ?
ね?和?」
慌てて誤魔化す雅紀、
サンキュ。
姉ちゃんを怒らせる前に、
ニコッと笑って雅紀に頷いた。