第1章 MUSIC
*Kazunari side*
「そ。なら良かった。
お風呂入れとくから、
沸いたら入りなね。」
そう言い残して姉ちゃんは
出て行った。
「なんかレナちゃん、
お母さんみたい。」
ぼそっと雅紀が
呟いた。
「なんで?」
「だって、クッキー焼いてくれたり、
課題やりなよって言ったり、
お風呂入れてくれたり…。
本当、お母さんみたいじゃん。」
「確かに。」
そう言いながら俺も笑う。
「俺の母さんよりお母さんみたいだよ?
レナちゃん。」
雅紀…。
それは雅紀の母ちゃんを
けなしすぎだ…。
でも、こうやって
雅紀と話をしてるときが
やっぱり最高に楽しい。
いつまでも続けば良いのにな…。
「お風呂、沸いたよー!」
「どっち先、入る?」
「和、いいよ?」
「いや、雅紀先、入りなよ。」
そんなこんなで譲り合ってると…。
勢いよく部屋のドアが開き、
「まだ入らないの?」
凄い剣幕の姉ちゃんが入ってくる。
「どっち先入るか決めてたの!」
と、次の瞬間、
姉ちゃんの口から出てきたのは、
衝撃的な言葉。
「2人で一緒に入ればいいじゃん。」
「はぁー!?」「えー!?」
2人一緒に驚いた。
「大丈夫だよ。
家の風呂広いし。」
「いや、そういうことじゃなくて…。」
やっぱり俺の姉ちゃん、
どっか変わってるわ…。
一般人と感覚が違う…。