第1章 MUSIC
*Masaki side*
さっきから俺は課題が
わからないと言うのを口実に、
ずっと和と居た。
ここはもう…、
俺のこと、
無くてはいけない存在に
しちゃえという
無理やり(すぎる?)な
作戦に出た。
た、確かに、
課題がわからないのも
本当なんだけど。
和が好きすぎて…
というのは言い過ぎかもしれないけど、
やっぱ、少しでも
一緒に居たいし?
向こうから泊まっていけとか
言われてさ?
大丈夫かな…。
いろんな意味で。
「なんか飲む?」
和から聞いてきて。
「なんか飲みたいね。」
そう俺が答えて。
「じゃ、俺持ってくる。」
そう言って和は立ち上がって
下のリビングに降りようとして。
えー?行っちゃうのー?
なんて思ってたら、
ノックの音。
「私だけど。入るよ?」
そう言って入ってきたのは、
和の2コ上のお姉さん、レナちゃん。
「クッキー焼いたけど。食べる?」
俺と和は待ってましたとばかりに
首を縦に振る。
「なんか飲む?」
さっきの和と同じセリフ。
さすが姉弟。なんてね。
「なんか飲みたいわ。」
「な?雅紀。」とばかりに
俺に同意を求めてくるから、
「うん、俺も。」
そう言っておく。
「麦茶でいい?
…あ、ファンタもあった気がする。」
“どっちがいい?”
目で和が聞いてくる。
「「ファンタ!」」
息ぴったり。
「わかった。入れてくる。」
そう言ってレナちゃんは
和の部屋を出ていった。
…と、思ったら。
もう一度部屋のドアが開いて、
「ちゃんと課題やってね!」
と、駄目押しをして
今度こそ本当に出ていった。