第4章 楽園
「お疲れ、今日は俺の我が儘で
だいぶ無理させちゃったね」
「王子様翔ちゃん」とも、
ヘタレでビビリで
泣きそうな翔ちゃんともまた違う、
かわいい翔ちゃんの寝顔を
しっかり記憶に焼き付け、
ポンポンと頭を撫でてから
ちょっと運転の邪魔なので
窓のほうにもたれかからせる。
今日はすっごい楽しくて、
すっごいはしゃいでたから
なんだか帰るのが寂しい。
んーでも、いろんな翔ちゃんが見れて
嬉しかったし、いっか。
来た道と同じ道を通って帰る。
朝の桜も良かったけど、
オレンジ色に染まる空を背景に見る桜も
なかなかオシャレ。
「翔ちゃん!ついたよ!」
1時間くらい車で走り、
翔ちゃんちのマンションの駐車場に
車を止める。
服が濡れてるのもあって、
午後4時の風が結構冷たい。
「うわ、さっむい
…あれ、翔ちゃんどうした?」
目は覚めてるのに
ぼーっとしてる翔ちゃんに
声をかける。
「ん?…ううん、なんでもないよ?
ほら、風邪ひいちゃうし早く帰ろ」
どこか無理して気丈に振る舞ってるような
翔ちゃんを追いかけ、翔ちゃんちへ。