第3章 君が笑えるように
「あっ、虹。」
落ち着いてから
買い物に外に出ると、
さっきまで雨が降ってたのか、
虹が出てた。
そういえば、いつか雅紀と
買い物に行ったときも
こうやって虹が出てたっけ。
虹をバックに2人で撮った写真が
スマホにまだ残ってる。
あの写真を見ながら
1年後も2年後も
こうやって笑ってたらいいねって
言ってたな…。
まさか2年後こうなってるとは
あのときは夢にも思ってなかったけど。
雅紀もこうやって笑ってたらいいなって。
自分の想いを虹に乗せて。
見えてるかな、東京でも。
スーパーの入り口近くにある
ちょっとした花屋。
雅紀が枯れないように育てるって
大事にしてた花。
ベゴニア…、だったっけ。
花屋に並んでるのは…、
ちょうど蕾がついてた。
雅紀のももうすぐ咲くのかな。
まさか枯らしてたり…、しないよね。
また会いたいな…、なんて
やっぱり思ってしまう。
どこにでもあるありふれたような
ラブストーリーだったけど、
2人の記憶は色あせてない…、
少なくとも、俺のは。
そんなことを思いながら家路につく。
いつもの景色が、少し違って見えた。