第4章 S×O【紡ぐ】
大野side
ずーっと気になってた。
一年の頃からずっと。
櫻井くんと出逢ったのは
いつ頃だったかなぁ。
あ、思い出した。
西高と南高のサッカーの合同練習。
そのとき、たまたま目が合った。
そのとき、心臓がドキンって
跳ねたんだ。
すぐに練習に戻っちゃったけど、
しっかり見えてた。
三階の美術室からだって、
ちゃんと見えたんだからね。
俺、目いいんだから。
くりくりとした瞳と、
サッカーしてるのに
あんまり焼けていない肌。
印象的で、かっこいいなって
ずーっと思ってたんだ。
俺がいつも乗る時間帯の
電車にはいないから、
自主練してるのかなって。
だから、いつもより一本
早いのに乗ってるの。
…でも、櫻井くんは
いつも小さい男の子と(俺と変わらない?)
仲良さげに話してるから。
入る隙なんて、
この先一生ないんだろうなあって。
見てるだけで、この恋は終わる。
そう思っていたから。
ぎゅーっと抱き締めたら、
気持ちいいんだろうな。
筋肉のつき具合が
ちょうどいいんだもん。
好きになっちゃったんだもん。
仕方ないじゃん。
「…そう、なんだ。」
「引く?」
「…ううん。
俺も、同じ。
大野くんのこと、
ずっと気になってたんだ。」
爽やかな笑みが
俺に向けられた。
その瞬間、理性とかどうでもよくて。
櫻井くんの腕を引っ張って、
無理矢理キスをした。