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Bitter Sweet【気象系BL小説】

第4章 S×O【紡ぐ】







ピピピっと目覚まし時計が鳴る。

「んー…」


目覚まし時計を手に取り、
時間を見た。



「ぅえっ!?!?」


まだ覚醒しきっていない脳に
刻み込まれる文字。


「七時五十分」


や、やっちまった。

目覚まし時計の時間を
かけ間違えたのか。


ここから駅までどんなに急いでも
十五分は掛かる。

間に合うけど、
そこに準備の時間を足したら
絶対に間に合わない。


あぁ、もう。
考えるのは一旦やめにしよう。


制服をハンガーから雑に取り、
急いで着替え始める。

朝飯は学校の近くの
コンビニで買えばいい。


顔とか髪とか、
もうどうでもいい。



ぱっぱと着替えて飛び出した。


まだ間に合う。


今日は金曜日だ。

これを逃すと、
貴方に二日会えない。

それは嫌だから。


いつもより自転車を急いで漕ぐ。



「あああっ!」



駅の改札に駆け込んだ。

そしたら、のろのろと
歩いてる貴方がいた。


もうドアは閉まりかけている。


貴方を見捨てるのは
いくらなんでもできないから。


のろのろ歩いてる貴方の手を握り、
閉まりかけのドアに駆け込んだ。



「間に、合ったぁ…」



はぁはぁと荒い深呼吸を
繰り返す俺に貴方はこう言った。



「…あの、これ、違うんですけど。」

「え?な、なにが?」

「えっと、俺、南高なの。
で、あなたは西高だよね。

南高行きと西高行き、
隣の車両だったんだけど…。」

「えっ!?」



慌てて電光掲示板を見ると、
どこにも西高前の駅はない。

…反対側の車両に
乗っちゃったんだ…。


「やっべ…」

「ふふ、」

「え?」

「西高の人って、みんな頭いいから
つまんない人だと思ってた。

俺、大野智。よろしくね。」

「…あ、俺、櫻井翔。」

「櫻井かぁ、なんかかっこいいね。」


ふわっと微笑むその姿に
射抜かれた。
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