第3章 A×N【俺の愛のscale】

「知らねえよ。」

「ひどい…。」

「ひどいもなにも、
その恋人の気持ちが知らねえし。」

「…軽蔑しない？」

「…しねえよ。別に。
どーせ、男だろ？」


…うん。
わかってくれるんだよねぇ。


なんだろうね。
翔ちゃんは。



俺の言いたいこと、やりたいこと、
全部わかってくれる。


「…そんなこったろうと思った。
んで？お悩みは？」

「最近、俺が貪欲になってる。」

「はぁ…。
考えすぎじゃね？」

「考えすぎなんかじゃない。」



だって、貪欲なんだもん。
絶対そうだもん。


だから…にのはきっと、
俺から離れたんだ。

近くにいる時間が減って、
離れている時間の方がやや多い。



「押してダメなら引いてみろって
言葉があるだろ？」

「うん…」

「それ、してみれば？」

「引いてるつもりだけど…。」

「…んー。
打つ手なし、かぁ。」



…そんな…！

翔ちゃんなら名案を
浮かべてくれると思ったのに！



「お願い！
どうにかしたいの！！」

「…じゃあさ、
同棲やめたら？」






…え？