第3章 A×N【俺の愛のscale】
「相葉くん、行ってきます。」
「うん。またね。」
にのを大学まで連れてって、
俺はその同じ大学の違う校門から入る。
同じ大学でも広いから、
にのと会うことは滅多にない。
にのは経済学部、
俺は教育学部。
ふふ、にのは頭がいいんだよ?
え?俺?
……それは聞かないで。
でも、なんでにのは
こんな頭の悪い俺を
選んでくれたんだろう?
絶対翔ちゃんの方がいいのに…。
あ、翔ちゃんっていうのは
にのと同じ経済学部の
俺の親友のことね。
だって俺、この大学に入って
にのに初めてあったのに。
にのは
「ひさしぶり。相葉くん。」
なんて言うんだもん。
俺、全然覚えてない。
誰?って話。
近所にあんな子いなかったし、
従兄弟でも再従兄弟でもない。
…誰なんだろ。
まったくわからないけど、
わかることは、
俺たちはお互いのことを
ちゃーんと愛し合ってるってこと。
どんなに喧嘩しても、
どんなに八つ当たりしても
好きだからするわけで。
好きじゃなかったら、
そんなことしない。
嫌いなやつとなんて
関わりたくないもんね。
…嫌いなやついないけど。