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Bitter Sweet【気象系BL小説】

第7章 S×N【Melt.】







返事なんて、
もうとっくに決まっていた。

だが、
目の前の水分を多く含んだ
和也の揺れる瞳を見ると、
言葉が詰まり、声が出ない。


「…ねぇ、翔さん…
俺じゃダメかな…?
女の子じゃないとダメ…?」


悲しそうに、
ゆらゆら揺れる瞳。

そのうち、目の淵に涙が溜まり、
目力が弱まる。


「……和也、俺…」


やっと出た声も、
ひどく掠れていた。

聞き取れるかどうかの、
小さな声だった。


「和也の、こと…
前からずっと…」

「…うん、」


俺の次の言葉を待つ和也を
引き寄せて。

耳元でこう囁いてやるんだ。

「好きだよ。」

なんて。



どこかのドラマみたいだ。

自分の身にこんなことが起きるなんて、
思ってもなかったし、
自分がこれほど行動できるものとも
思っていなかったのだ。


「…うんっ、うん、俺もだよっ…」


涙で顔をぐしゃぐしゃにして、
俺の胸の中でわんわん泣く。

…あぁ、やっぱり…。


俺はお前が、ずっと前から
好きだったんだ…。


今になって、
ようやくわかった。

いや、前から薄々気付いてはいたが、
その度自分の感情を消して
和也と接していた。

…募らせた想いが、
今やっと報われた気がした。
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