第7章 S×N【Melt.】
言葉が、詰まった。
何を言えばいいかわからない。
目の前に見る和也の瞳に、
頭が真っ白になってしまう。
俺の持ち合わせた言葉では、
表現ができない。
「…やめろよ。
そんな笑えない嘘…。」
「嘘じゃ、ないよ…?」
丸い瞳に捉えられ、
うんともすんとも言えない俺を
和也がくすっと笑う。
そして、体をゆっくりと起こして、
「俺翔さんが好き。
セフレなんかじゃなくて、
付き合おーよ。」
…そんな、真っ直ぐ俺に向かって、
笑顔で言わないでくれよ…
頼むから…
俺、自惚れちまうよ…
「…マジで?」
「マジ。嘘つかない。
ご都合主義でもなんでもない。
本心だよ、これ。」
「……」
何を言えばいいか
いよいよわからなくなってきた。
ダメ?って
俺の右手に手を添えられ、
ひとつ、キスをされる。
顔に熱が集まってきて、
すごく熱い。
和也のことを意識した途端、
頭がシャットダウンする。
「……ねぇ翔さん、返事は…?」
窺うような、
少し挑発的な眼差しを向けられた。
俺は噛んでいた下唇から、
嗚咽を洩らすのが精一杯だった。