• テキストサイズ

廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)



ぽふりと髪に触れる手の感触。



(………あれ?)



衝撃は予想していたよりも、ずっと軽かった。



「ゅ…ユウ?」



頭に触れた手が、頭、肩、腕、顔、とぺたぺた触れていく。
まるで形を確かめるような行為に、雪は戸惑いつつ名を呼んだ。

ぴくりと神田の長い睫毛が瞬き揺れる。
肩に触れていた手がその場で止まる。
そして。



「わっ?」



ぽすりと、唐突に落ちてきた顔は雪の肩に額を乗せた。



「ゅ、ユウ?」



再度名を呼ぼうにも返事はない。
代わりに雪の耳に届いたのは、深く息をつく神田の呼吸。
はー、と吐いた息に下がる肩。
意図がわからず傍にいるリナリーに視線を向けるも、彼女もまた困惑した様子で見守っているだけだ。






「…やっとかよ…」





小さな声でぼそりと告げられた神田の言葉は、予想外のものだった。






(あれ…ラビ達と、一緒だ)



てっきり適当な相槌程度で済まされると思っていた。
しかし目の前の彼は、雪の姿に安堵の様子を見せているように思える。
ラビやアレンやリナリーと同じく、今の雪の姿にほっとしているようだった。

拍子抜けしたように、雪の緊張の糸が切れる。
そっと肩に乗る手に触れれば、握り返された。



「ふふ、やっぱりね?」

「「!」」



しかしその些細な行為に胸を高鳴らせる暇もなく。
傍で微笑む美少女の存在に、我に返った二人の体は即座に距離を取った。
神田も無意識の行動だったのか、決まりが悪そうに舌を打つ。



「雪、どうせだしこのまま神田を連れて帰ってくれる?ずっと機嫌悪くて子守り大変だったんだから」

「おい、子守りってなんだ」

「そのままの意味よ。体だけ大きな5歳児ってところ。じゃあよろしくね、私ももう休むから」

「あっ」



カツンと真っ赤なイノセンスのハイヒールを鳴らして、颯爽と去っていくリナリー。
そこに声を被せる暇もなく、雪は神田と共にその場に残された。

/ 723ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp