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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)



「ゆ…ぅの、ちゃんと頂戴…」

「っ」



強請るような甘い声。
声変わりした男の声帯であるはずなのに、聴いただけで腰が疼く。



「きもちいの、一緒、がいい…ゆ…も、気持ちよくなって」



先程の雪の絶頂で、一緒に高みに昇れなかったことをどうしてか知っていたらしい。
こうもふわふわと薬漬けの意識で、どうして周りが見えているのかと不思議に思う。



「だから、やめちゃやだ…」



しかしすぐにそんな疑問もどうでもよくなった。
懇願し甘える目の前の誘惑に、目が眩んで。



「…言ったからには責任持てよ」

「んっあ、ふ…っ」



ず、と膨張増した熱が奥へと進みゆく。
堪らず仰け反る雪の体を掻き抱いて、神田は己の欲をぶつけた。



「あ、きもち…ッそ、こもっと…ッひぅッ」

「意識、飛ばすなよ…ッ」

「ん、ん、あッ」



ぶつかり合う肌の音。
溢れるような愛液の音。
そこに混じり合う雪の嬌声は、まるで一つの音のように聴こえた。
穏やかで心地よい音色ではない。
押し流すような快楽の波で混ざり合う、神田にとってそれそのものが媚薬のような強烈な響きだ。



「ゆ…っゆぅ…あッ好、き」

「ッ」

「は、あ…ッこれ、も…ゆうの、ぜんぶすきぃ…ッ」



縋るように求める腕に力が入る。
喘ぎ混じりに告げる言葉は、何も纏っていない裸の雪の想い。

涙で滲んだ瞳で、高揚した頬で、艷やかに濡れた唇で。
一滴残らず求めようとする淫らな姿に、ぷつんと神田の中で何かが切れた。



「雪…ッ」

「ぁッあ…!」



それから先は、済し崩しのように快楽の波に呑まれた。






























「その後はお前も話す余裕なんてなくなったけどな」

「………」

「それでもあれは、お前の本心だったんじゃねぇのか」

「………」

「おい。何だんまり決め込ん…オイなんで顔隠してんだ」

「ぅぅ…なんで思い出させるかな…」

「…へえ?記憶にあったのか」

「あ、あんな抱き方されれば…っ」



忘れられるはずがない。
あんなにユウに激しく抱かれことに、凄く、満たされてしまった自分が、いたことも。

まるで、体だけじゃなく心まで裸にされた気分。

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