第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
(無理。絶対、無理。こんなので気持ちよくなれるはずがない…!)
その気持ちに比例するかのように、すっかり萎えきった自身は腑抜けたまま快楽の一つも体は示そうとしない。
いくら男の方が快楽に従順な体の造りをしていようとも、未経験の体の一部を感じさせる方が無理な話だ。
───そう、思っていた。
「っ…?」
最初は微かな変化だった。
無理に押し入ろうとはせず、何度も優しく入り口だけを愛撫する神田の指から伝わる熱。
じん、と小さな痺れがくる。
最初は意識しないと感じられない程に小さかったものが、幾つも重なり少しずつ膨らんでいく。
じん、じん、と微かに疼く。
(なに、これ…)
恐る恐る逸していた目線を戻す。
は、と吐息を溢せば、音を拾った神田の視線と重なった。
「何か感じるか?」
「っそ、んなことない」
問い掛けてくる声は優しい。
思わず傾いてしまいそうな心を止めて、雪は首を横に振った。
認めてしまえば、崩れてしまいそうな気がした。
「そうか。なら、」
「っ」
「体に聞いてみるか」
「そ、そっちは触らないんじゃ…」
「触って欲しそうに涎垂らしてるだろ」
「っ!?」
甘い蜜に塗れた神田の手が、萎えていた雪自身を包み込む。
萎えていたとばかりに思っていた。
しかし神田の言葉に初めて凝視したそれは、頭を擡げて透明な雫を滲ませていたのだ。
「ぅ、嘘…なんで…」
「気持ちいいからだろ?」
「これ、が?…ん、はっ」
「男になって何もなかったってのは本当らしいな。自分の体の変化もわかんねぇか」
「ふぁっや、それ、さっきより…ッ」
「気持ちいい?」
ぬる付いた手で扱かれると、先程より立つ摩擦音が卑猥に鳴り響く。
神田の手から伝わる熱も、囁かれる低い声も、空気を犯す卑猥な音も、雪の体を染め上げていくようだった。
じんじんと後蕾が疼く。
「わか、んな…熱、い」
「いいんだよ、それで。熱くなっとけ」
「でも…」
「ゆっくり解してやるから」
「ん、ぁッ」
つぷりと、神田の指先が予感もなく蕾の中へと潜り込んだ。
ローションのような蜜が潤滑剤の役目を担ったお陰で、痛みは一切感じなかった。