第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
だから、と囁いて。
「次は此方な」
離れた神田の指先が下る。
そわりと撫でられたのは、今まで何度も肌を重ねてきて一度も触れられたことがない箇所だった。
さぁ、と雪は顔から血の気が退くのを感じた。
男同士で交わる方法は、偶に読ませて貰っていたクロエの薄い本のお陰で知っていた。
しかしそれは二次元だから楽しめるのだ。
自分の身に降り掛かるなどと思ったことは露程にもない。
「な、なに、言って、んの?」
「なんだ、説明して欲しいのか。お前の尻のあ」
「わー!いいいい言わなくていい!というかそこはそういう使い方をするところじゃない!」
「へえ。そういう使い方って?」
「っ!」
ぎくりと固まる雪を見下ろして、神田の顔がにやにやと問い掛ける。
「お前も知ってんなら話が早い。なら説明は要らねぇな」
「ぃ、嫌!それだけは嫌!お婿に行けなくなる!」
「何処のどいつの婿になるんだよ。つーか男前提で話すな。お前の童貞は誰にもやらねぇからな」
「えぇえ…!」
「処女は貰う」
「えぇえ…!?っい、いや!ほんと恥ずか死ぬから!」
「お前の照れ癖なんざ今更だろ。安心しろ」
「何が!どうやって!?」
「こうやって」
「っ!?」
ベッドから抜け出そうとするも、快楽で抜けた腰では神田からは逃げ出せない。
慌てふためく雪に対し、想定の範囲内だったのだろう神田はどこまでも冷静だった。
ポケットから取り出した小さな小瓶の蓋を、口できゅぽんと抜き取る。
逆さに向ければとろりと零れ落ちる蜂蜜色のそれを、雪の腿に伝わせた。
「っ?何それ…っ」
「すぐにわかる」
蜂蜜のように甘ったるい匂いが鼻を突く。
蜜を纏わせた神田の長い指が小さな蕾を捉えると、雪は体を硬直させた。
青い顔で必死に顔を横に振るも、神田は表情一つ変えず、止める素振りを一切見せない。
不快感はないが、排泄でしか使わないそこを弄られることは恐怖でしかない。
固く閉した後蕾の入り口へ、丹念に優しく蜜を塗り込んでいく。
一見すれば優しい神田の手付きも、雪の顔を晴らしはしなかった。